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27 décembre 2007 

QUALLE AMORE:films

Maurizio Sciarra監督のQUALE AMOREを観た。
裕福な家庭に育ち、母がオーナーをつとめる銀行に働いていたAndrea。彼は妻Antoniaを殺害し、釈放されて息子たちのいるアメリカに向かおうとしている。しかし、彼が乗る予定だった飛行機が遅延してしまう。待っている間、飛行機に同乗した老人に、問わず語りに彼の来し方を話し始める。
 Andreaは田舎町のコンサートでピアノを弾くAntoniaに一目惚れをし、二人は一週間もしないうちに結婚の約束をする。二人は愛し合っていたのだが、AndreaはAntoniaに僅かばかりのお金をもらって演奏することを禁じる。芸術家としての矜持をもつAntoniaは彼の考えに反発するが、三人の子供も生まれ、表面的には裕福な理想的な一家として日々を過ごす。その後、妻は演奏活動を再開し、四人目の子供が流産したのを期に、その活動を一層、活発化させる。Antoniaは夫とは分かち合えないハーモニーを演奏仲間と奏でることに大きな充実感を得るようになるが、夫はそんな妻に激しい嫉妬の炎を燃やすようになる。
 妻と妻の演奏仲間への嫉妬に身を焦がした夫が、疑いと妄想によって妻を殺害してしまう話である。物語としてはありがちなストーリーだが、ただこの作品の場合、Beethovenのソナタという目には見えないものが動機の大きな要因となっている。
 精神的に結びつけない妻が、自分以外の男と音楽を介して分かり合う。恐らく、夫は財力で妻の心を惹こうとするが、妻の心は夫からは離れていってしまう。物語がAndreaの語りによって構成されるため、妻が浮気をしたか、という点はやや曖昧になっている。少なくとも、劇中ではその事実はみとめられない。だが、両者の溝は埋めがたいまでに深まっていく。
 嫉妬というのはどこから来るのか?相手の態度もあるのかもしれないが、人を信じることができないという性癖もその強弱に大きく影響するのだろう。人を信じられず、嫉妬心に支配される人間は、常に不幸だ。心が荒み、妄想に近い思いこみに振り回される。そうした精神状態になってしまったら、自分に向けられた親しげな笑顔でさえも「浮気の兆候」になってしまうのであろう。そもそも自分以外の人間を所有することなど、できない。
 原題は『愛とは何?』邦題は『クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏』。なんだか豪華な雰囲気なんだけど、細部に甘さの残る二時間ドラマ風な作品でした。