Un voyage à Formose:journal
故あって、台湾の嘉義にやってきた。台湾に来るのは久方ぶり。新装の空港に驚いたぐらいだから、ひょっとしたら4、5年は来ていなかったのかも知れない。
空港からバスで台湾新幹線(高鉄)の桃園駅に行き、高鉄に乗り換えて嘉義へ向かう。1時間の道のりで660元だから、二千円ほど。日本の新幹線より安く、空席も多いからとても快適だ。
嘉義の中正大学は森の中にあるような閑静な場所にある。この時期でも日中は30度に達するが、夕方の散歩は極めて快適。しっとりした空気が心地よい。
このたびの滞在で知ったことだが、台湾の手話は日本の手話の影響を強く受けているらしい。試しにボクが知っているいくつかの単語の意味を訊ねてみたら、果たして日本と全く同じであった。手話は音声言語と同様、地域によって大きな差異を有する。手話=ユニバーサル言語ではない。手話の国際会議で手話通訳がずらりと並ぶ光景をテレヴィで観たことがある。そうしたなかにあって、日台間では聾唖者がかえって健常者よりコミュニケーションがとりやすい可能性がある。文法レベルではどうなのだろう。なかなか興味深い。
夜は南管という地方の芸能を鑑賞する。非常に洗練された、高雅な舞台であった。面白かったのは<桃花搭渡>というオペラの二人舞台。閩南語を訳した字幕を読みながら掛け合いの諧謔を楽しむ。ラストは<一紙相思>という三部構成の楽曲。一曲40分にも達する。構成の最後に小型の能面をかぶった役者が登場。しかし一貫したゆったりとしたリズムによって、最後には睡魔と格闘。ノックアウト寸前になった。
独特だったのは南鼓(圧脚鼓)といわれる中型の太鼓の演奏法。両脚の間に配置した太鼓の上に、左足を乗せ、足の位置を微妙にずらして音色を変える。こうした手法を観たのは初めてであった。
夜の屋台。蚵仔煎、豆腐花、カップに入ったカット・フルーツを買い食いする。台湾はフルーツ天国。安く、沢山の種類の果物が食べられる。ふらっと何気なく入ったお店でも、結構、美味しい料理を出してくれる。食べ物が美味しい街というのはこういう街のことをいう。旅行者から「沖縄は料理がイマイチ」と言われるのは、適当に入ったお店で失望を味わう確率が高いことも一因だ。このことは沖縄料理が美味しくないということを意味しない。ハズレを引く確率が高い街は、パリ、ロンドン、ロサンゼルス、上海、プラハ・・・。
一方、食べ歩きで面白い街は、大阪。明石焼、串揚げ、餃子など少しずつ注文しながらハシゴする。立ち呑み屋のハシゴも好きだ。だが、串揚げ屋の「二度づけ禁止」の張り紙には、心持ち緊張してしまう。ルールを踏み外さぬよう意を注ぐ。そこここに「〜禁止」と書かれ、顰蹙と隣り合わせの食空間は、存外少ない。もちろん二度づけをした覚えはないが、それをしない自然な振る舞いが身に付いている気もしない。緊張の原因は所謂「ハビトゥス」にある。
話を台湾に戻す。大学の招待所で迎えた朝は、小鳥の鳴き声で目を覚ます。網戸を開け放して眠りについたが、夜中に目を覚ますことはなかった。寝覚めも爽快。いつもはしない朝の散歩をしたくなった。一方、テレヴィ画面には色と文字が汪溢している。背景は極彩色の動画、CGがうざいほど多用され、文字が縦横に流れる。これではニュース番組で癲癇を発症する人がいるかも知れない。洗練とはほど遠い、そう思うが、これが庶民の好みなのだろう。
翌日、台北に向かう。
空港からバスで台湾新幹線(高鉄)の桃園駅に行き、高鉄に乗り換えて嘉義へ向かう。1時間の道のりで660元だから、二千円ほど。日本の新幹線より安く、空席も多いからとても快適だ。
嘉義の中正大学は森の中にあるような閑静な場所にある。この時期でも日中は30度に達するが、夕方の散歩は極めて快適。しっとりした空気が心地よい。
このたびの滞在で知ったことだが、台湾の手話は日本の手話の影響を強く受けているらしい。試しにボクが知っているいくつかの単語の意味を訊ねてみたら、果たして日本と全く同じであった。手話は音声言語と同様、地域によって大きな差異を有する。手話=ユニバーサル言語ではない。手話の国際会議で手話通訳がずらりと並ぶ光景をテレヴィで観たことがある。そうしたなかにあって、日台間では聾唖者がかえって健常者よりコミュニケーションがとりやすい可能性がある。文法レベルではどうなのだろう。なかなか興味深い。
夜は南管という地方の芸能を鑑賞する。非常に洗練された、高雅な舞台であった。面白かったのは<桃花搭渡>というオペラの二人舞台。閩南語を訳した字幕を読みながら掛け合いの諧謔を楽しむ。ラストは<一紙相思>という三部構成の楽曲。一曲40分にも達する。構成の最後に小型の能面をかぶった役者が登場。しかし一貫したゆったりとしたリズムによって、最後には睡魔と格闘。ノックアウト寸前になった。
独特だったのは南鼓(圧脚鼓)といわれる中型の太鼓の演奏法。両脚の間に配置した太鼓の上に、左足を乗せ、足の位置を微妙にずらして音色を変える。こうした手法を観たのは初めてであった。
夜の屋台。蚵仔煎、豆腐花、カップに入ったカット・フルーツを買い食いする。台湾はフルーツ天国。安く、沢山の種類の果物が食べられる。ふらっと何気なく入ったお店でも、結構、美味しい料理を出してくれる。食べ物が美味しい街というのはこういう街のことをいう。旅行者から「沖縄は料理がイマイチ」と言われるのは、適当に入ったお店で失望を味わう確率が高いことも一因だ。このことは沖縄料理が美味しくないということを意味しない。ハズレを引く確率が高い街は、パリ、ロンドン、ロサンゼルス、上海、プラハ・・・。
一方、食べ歩きで面白い街は、大阪。明石焼、串揚げ、餃子など少しずつ注文しながらハシゴする。立ち呑み屋のハシゴも好きだ。だが、串揚げ屋の「二度づけ禁止」の張り紙には、心持ち緊張してしまう。ルールを踏み外さぬよう意を注ぐ。そこここに「〜禁止」と書かれ、顰蹙と隣り合わせの食空間は、存外少ない。もちろん二度づけをした覚えはないが、それをしない自然な振る舞いが身に付いている気もしない。緊張の原因は所謂「ハビトゥス」にある。
話を台湾に戻す。大学の招待所で迎えた朝は、小鳥の鳴き声で目を覚ます。網戸を開け放して眠りについたが、夜中に目を覚ますことはなかった。寝覚めも爽快。いつもはしない朝の散歩をしたくなった。一方、テレヴィ画面には色と文字が汪溢している。背景は極彩色の動画、CGがうざいほど多用され、文字が縦横に流れる。これではニュース番組で癲癇を発症する人がいるかも知れない。洗練とはほど遠い、そう思うが、これが庶民の好みなのだろう。
翌日、台北に向かう。