FAST FOOD NATION:films
Richard Linklater監督のFast Food Nationを観た。ミッキーズ・バーガーの本社で宣伝を担当する幹部・Donは社の主力商品である“ビッグワン”のパテから糞便性大腸菌が大量に検出されたこと聞き、その調査を行う。その調査の途上で、驚愕の事実が明らかになる。
ファーストフード産業の雄・ハンバーガー・チェーンを巡って、会社の幹部・Don、バーガー店で働くAmber、そして工場で働くメキシコからの不法移民Silviaたちの三つの視点で、業界のダークサイドを見つめた作品。三つの視点のなかでも、もっともショッキングなのは、やはり工場の描写であろう。ラストの解体作業には慄然とする。
この作品は、フィクションということになっているのだが、原作はノン・フィクション。よって、この作品に描かれる業界の暗部は確実に存在するのだろう。特にひどいのは、日本で言えば労働基準法の適用がされない労働現場。低賃金、長時間労働、臭くて気持ち悪くて危険な作業、露骨なセクハラ、食品加工工場とは思えない不潔さ・・・そうした状況が明るみに出ないのは、労働者の多くが不法移民だからだ。ファースト・フードの低価格は不法移民から搾取することで成り立っている。彼らの存在が予め業界の底辺に予め組み込まれ、商品のの安さが保たれている。これは日本とて同様である。
では、そもそもなぜ、ハンバーガーの肉に糞便性大腸菌が混入してしまうのか?それは、流れ作業のなかで糞便を含んだ直腸や大腸がラインに乗ってしまい、それも挽肉になってしまうからだ。それでも食中毒が出ないのは、焼いてあるからである。挽肉になる材料はクズ肉の集まり。ラインに少しでもいい肉が混入すれば、作業員は厳しく叱責される。過酷すぎる労働環境に耐えられず、不法移民の作業員たちはドラッグで感覚を麻痺させながら作業に当たる。それがまた、ラインの機械に腕や足を巻き込まれるほどの事故を誘発する。しかし、労災は適用されない。業界は不法移民の労働者を受け入れることが、祖国で劣悪な状況にある彼らの「救済」とさえ思っている。
では、ファーストフードを売るお店はどうか?ティーンの子供たちが、床に落ちたハンバーガーも焼いて客に出す。これは在庫数が厳しく管理されているからであろう。
今の日本でも食の安全に関する議論が喧しい。さらに、ワーキング・プアなどの底辺労働者の問題もあるため、この映画で描かれている状況は決してアメリカ特有の問題には思えない。安全で安くて美味しい食品。これは消費者にとっては理想であろうが、もはや幻想と言ってもよいのではないだろうか。
では、ボクたちに防御策はあるのだろうか?やはり地産地消を心がけることは重要である。最近は生産者の写真を袋に印刷してあったりする。以前は要らないと思っていたが、あれは生産者にとって大きなプレッシャーになるのだろう。下手な商品を売りつければ顔が判るだけに村八分になる可能性さえ、ある。
もう一つは、加工食品ではなく、なるべく素材を買う。練り物のようなものは避ける。そして、調理に十分時間をかけ、その時間を惜しまないことが重要だ。餃子が食べたければ冷凍食品を買うのではなく、ちゃんと材料を買って自分で包む。だが、こう言ったところで、実現するのは困難が伴う。ロハスだ、エコだと自分のポリシーを実現できるのは、生活に余裕がある人だけという、哀しい現実がある。それでも、骨の髄まで染みついた効率的で合理的な思考や価値観や行動様式を見なおす必要はあろう。やはり我々の生活は効率性のプライオリティがあまりにも高すぎる。お金と時間と手間をかけずに行えることは、高が知れているということを知るべきのだ。
この映画を観た人は、知らなきゃ良かったと思うだろうか、それとも知っておいて良かったと思うだろうか・・・ボクは後者である。
ファーストフード産業の雄・ハンバーガー・チェーンを巡って、会社の幹部・Don、バーガー店で働くAmber、そして工場で働くメキシコからの不法移民Silviaたちの三つの視点で、業界のダークサイドを見つめた作品。三つの視点のなかでも、もっともショッキングなのは、やはり工場の描写であろう。ラストの解体作業には慄然とする。
この作品は、フィクションということになっているのだが、原作はノン・フィクション。よって、この作品に描かれる業界の暗部は確実に存在するのだろう。特にひどいのは、日本で言えば労働基準法の適用がされない労働現場。低賃金、長時間労働、臭くて気持ち悪くて危険な作業、露骨なセクハラ、食品加工工場とは思えない不潔さ・・・そうした状況が明るみに出ないのは、労働者の多くが不法移民だからだ。ファースト・フードの低価格は不法移民から搾取することで成り立っている。彼らの存在が予め業界の底辺に予め組み込まれ、商品のの安さが保たれている。これは日本とて同様である。
では、そもそもなぜ、ハンバーガーの肉に糞便性大腸菌が混入してしまうのか?それは、流れ作業のなかで糞便を含んだ直腸や大腸がラインに乗ってしまい、それも挽肉になってしまうからだ。それでも食中毒が出ないのは、焼いてあるからである。挽肉になる材料はクズ肉の集まり。ラインに少しでもいい肉が混入すれば、作業員は厳しく叱責される。過酷すぎる労働環境に耐えられず、不法移民の作業員たちはドラッグで感覚を麻痺させながら作業に当たる。それがまた、ラインの機械に腕や足を巻き込まれるほどの事故を誘発する。しかし、労災は適用されない。業界は不法移民の労働者を受け入れることが、祖国で劣悪な状況にある彼らの「救済」とさえ思っている。
では、ファーストフードを売るお店はどうか?ティーンの子供たちが、床に落ちたハンバーガーも焼いて客に出す。これは在庫数が厳しく管理されているからであろう。
今の日本でも食の安全に関する議論が喧しい。さらに、ワーキング・プアなどの底辺労働者の問題もあるため、この映画で描かれている状況は決してアメリカ特有の問題には思えない。安全で安くて美味しい食品。これは消費者にとっては理想であろうが、もはや幻想と言ってもよいのではないだろうか。
では、ボクたちに防御策はあるのだろうか?やはり地産地消を心がけることは重要である。最近は生産者の写真を袋に印刷してあったりする。以前は要らないと思っていたが、あれは生産者にとって大きなプレッシャーになるのだろう。下手な商品を売りつければ顔が判るだけに村八分になる可能性さえ、ある。
もう一つは、加工食品ではなく、なるべく素材を買う。練り物のようなものは避ける。そして、調理に十分時間をかけ、その時間を惜しまないことが重要だ。餃子が食べたければ冷凍食品を買うのではなく、ちゃんと材料を買って自分で包む。だが、こう言ったところで、実現するのは困難が伴う。ロハスだ、エコだと自分のポリシーを実現できるのは、生活に余裕がある人だけという、哀しい現実がある。それでも、骨の髄まで染みついた効率的で合理的な思考や価値観や行動様式を見なおす必要はあろう。やはり我々の生活は効率性のプライオリティがあまりにも高すぎる。お金と時間と手間をかけずに行えることは、高が知れているということを知るべきのだ。
この映画を観た人は、知らなきゃ良かったと思うだろうか、それとも知っておいて良かったと思うだろうか・・・ボクは後者である。