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11 mai 2007 

un homme ordinaire:films

Vincent Lannoo監督のORDINARY MANを観た。
Georgeはある夜、むしゃくしゃして前の車にパッシングをしたり、車間距離を縮めたり、煽るような行為をする。怒った前の車の男は、車から降りてきてGeorgeの車に詰め寄る。そして逆にGeorgeは男を殺してしまい、男に同乗していた女Christineを自分の山小屋に拉致する。その後、女が小屋から脱出を試みたため、Georgeは女の声帯を傷つけて声が出ないようにし、彼女を車のトランクに住まわせることにする・・・。
 物語はGeorgeの妻と幼なじみの警官との不倫関係がからみ、娘にChristineの存在が知られたりと、次第に抜き差しならない状況に陥っていく。そして、気の弱い「普通の男」であるGeorge自身も次第に精神を病み、幻覚をみるようになる。しかし、さらに病んでいったのはChristineの方で、最初は相手の攻撃心を刺激しないように振る舞っていたが、次第に抵抗力を失っていく。しまいにはそこが唯一生き延びる安住の地のように、自ら進んで車のトランクに入るようになる。最後にはGeorgeを救って、Georgeが犯した全ての罪を幼なじみの警官になすりつけることに成功する。
 Christineはいつ殺されるか分からないギリギリの精神状態のなかで、必死に生き延びようとしたのだろう。逃げ出せるような隙はいくらでもあっただろうに、殆ど逃げ出す意欲を失ってしまう。しまいにはGeorgeに過度に感情移入してしまう。まさに典型的なストックホルム症候群といえるだろう。一種の洗脳状況のようなもので、これを「愛」と呼ぶかは甚だ微妙である。観客のなかはこれを「愛」だと勘違いしてしまうだろう。
 さて、こうした作品は意外に多い。ヴィンセント・ギャロの『バッファロー66』、キム・キドクの『悪い男』、ジェニファー・リンチ監督の『ボクシング・ヘレナ』、『完全なる飼育』・・・枚挙にいとまがない。監督は確信犯的に描いているのか、純粋な愛として描こうとしているのか判然としない。以前にも書いたが、この映画のDVDのパッケージはLaurand Lucas監督のCalvaire(邦題『変態村』)を模した作りになっている。邦題も『変態男』となっており、Calvaireに便乗して相乗効果を狙っているが、両者の間にはなーんにも関連はございません。Calivaireについては以前、コメントを書いたので(こちら)興味のある方はどうぞ。