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07 juin 2006 

VOCES INOCENTES:film

Luis Mandoki監督のVOCES INOCENTESを観た。
1980年、少年のチャバは11歳。その頃、中米のエルサルバドルは政府の農民への搾取を発端とする政府とゲリラの内戦下にあった。そのためチャバの住む貧しい村は銃弾が日常的に飛び交う死とまさに背中合わせの戦場になっていた。そして、兵士が足りない政府軍は、12歳になった子どもたちを強制的に徴兵していく。
 1980年代といえば、僕が10代の前半、つまりこの実話の主人公であるチャバとほぼ同じ歳にあたる。小学生が徴兵?そんなことなど思いつきもしない、銃声など聞いたことのない、道に転がる死体など見たことのない子供時代であった。自分が生きていた場所から一番遠い地球の反対側でこんな不幸が繰り広げられていたなんて・・・この事実に衝撃を受けた。12歳で殆ど人さらいのように徴兵していく政府軍も非道だが、ゲリラも子供を利用しようとする点では同じである。そして、裏から糸を引いていたアメリカも。
 少年の初恋や日常の小さな喜びも描かれ、挿入される小さなエピソードはどれも張りつめた現実を弛緩させるものであるが、またそれが突然始まる銃撃戦の衝撃を高めるものとして効果的に使われている。チャバの演技も気丈な母親の演技も非常に良かった。どこに行くにも大切に持ち歩き、生活の唯一の糧であったミシンを売り、徴兵されそうな息子を亡命させた母親の姿に心打たれるものがあった。
 幸か不幸か、公開時期が『ホテル・ルワンダ』と重なったが、この作品を『ホテル・ルワンダ』と比較して(あるいは一括りにして)論じることにあまり意味はない。別の国の異なった経験を描いた作品だからだ。どちらが「感動」したとか、そういうことではない。どちらの作品も主人公やその周辺の人々が経験した人間の残酷さや愚かさ、大切な人を失う悲しみを世界を人々に知ってもらいたいという心からの叫びであり、祈りなのである。この物語は過去のものではなく、極めて現代的である。少年兵士はアフリカを中心に数多く存在している。兵士でなくとも、自爆テロに突き進まざるを得ない少年・少女も。社会の抗争に巻き込まれて命を落とす子供たちも、世界にはたくさん、いる。これらは国の名前さえ一般に知られていないような国や地域でおこっている。この作品は『ルワンダ』に勝るとも劣らない衝撃と事実を突きつけた作品であることは、言っておかなければならない。邦題は『イノセント・ボイス 12歳の戦場』。