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05 juin 2006 

Tony Takitani:film

市川準監督の『トニー滝谷』を観た。
孤独とともに人生を歩んできたイラストレーター・トニー滝谷は、仕事の関係で知り合った女性A子に恋をする。「服を着るために生まれてきた」ような可憐な彼女と結婚し、これまで知り得なかった満ち足りた生活を送る。しかし、トニーにはただ一つ、気になることがあった。それは彼女が異常なほどブランドものの服を買うことであった。
 シンプルで透明感のある映像と淡々としたナレーション、そして坂本龍一のゆったりとしたピアノ。生活感の欠如したシンプルな空間と、美しい妻との平穏な日常、それに潜む静かな狂気が一つの寓話的世界を演出している。買い物依存症であるA子が一体、どんな欠落感をもっていたのかは最後まで分からない。彼女の死により、これは謎のまま残されてしまう。彼女が生きていても分からないのかもしれない。残されたのはトニーの孤独だけかと思いきや、最後に亡き妻が残した服と同じサイズの女性と巡り会う。浮世離れしたような浮遊感のあるイッセー尾形と、儚い美しさをもつ宮沢りえのキャスティングは絶妙である。最近みた日本映画のなかではお気に入りの一本。