SOLAS:films
BENITO ZAMBRANO監督のSOLASを観た。ドメバ男であった父から離れ、都会で一人暮らしをするMaria。清掃作業員の仕事をするが、酒浸りの日々で、パーティの残り物の酒をあおったり、なじみのバーから酒をくすねたりする生活。父に殴られ続けた母・Rosaのように生きたくないと願いながら、Mariaは父と同じ匂いをもつドメバ男の子供を孕んでしまう。当然、男は中絶しろとこともなげに言う。そんなMariaの街の病院に父親が入院し、母親がMariaの部屋に寝泊まりすることになった。母親は娘の心配をしながらも彼女の生活が少しでも潤いのあるものになるように花を買ってきたり、手料理を作ったりするが・・・。
以前に劇場で観た映画だったが、なぜか全く記憶に残っていない。恐らく眠ってしまっていたのだろう。改めて観たが、非常にいい作品であった。スペインはドメスティック・バイオレンスが多い国だと聞いている。そうした社会背景とは無関係ではない母子の関係を静かに、そしてヒューマニスティックに描いている。Mariaは理性では分かっていても、どうしても横暴な男に惹かれてしまう。好きになる相手が憎い父親と同じようなタイプ・・・父からの愛情が少なかった分、このようになるのだろうか?その昔、日本のドラマで自分を平手打ちする男こそが、自分のことを考えてくれているのだとして、殴られた途端、相手についていく女性が登場していた。さすがに今はそんなキャラクターがお茶の間に登場することはなさそうだが、小さな時の記憶では結構、あったような気がする。今にすればあれは何だったのだろう?と思う。殴った女がついてくる。ある意味、恐い。
原題のSOLASはスペイン語で『ひとり(複数形)』という意味。この物語で出てくる登場人物はみな、孤独である。病床でもちょっとしたことで言葉の暴力を浴びせかける夫をもち、子供にも去られてしまうRosa。誰とも信頼関係を築くことが出来ずに酒浸りの孤独に陥っているMaria。そして独居老人のVecinoもまた同様である。彼らは少しずつやさしさ持ち合い、それを分かち合うことで、将来への希望を見いだしていく。ある意味で自由に生きるような時代や環境に恵まれず、私生活でもあまりいい思いをすることがなかったであろうRosaが憐れでもあるが、彼女の優しさは偉大である。彼女はある種の古風なスペイン女性なのだろう。なかなかお薦め。邦題は『ローサのぬくもり』。
