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07 mai 2006 

UZAK:film

Nuri Bilge Ceylan監督のUZAKを観た。
イスタンブールでカメラマンをしている中年独身男メフメットのもとに遠い親戚の男ユスフが訪ねてくる。ほぼ村全体が不況で失業者となってしまったため、職を求めてやってきたのだった。しかし、彼らの生活はすれ違うばかり。お互いにコミュニケーションをとろうとするのだが・・・。
 熱い理想をもってカメラマンを志したが、今は現実のまえに仕事への情熱さえ失っている男・メフメット。彼は誰にも頼らず、満足はしないながらも一人で今の生活を手にした男だ。そんな男が甘い見通しのもとに都会にやってきて、職探しはほどほどに女の子の後ろばかりを追いかける日常を過ごす若者を疎ましく思いながらも、不運に見舞われた親戚として邪険にもできないでいる。自立しながらも孤独に過ごす中年男と依存心と甘えが抜けない若者。対照的な二人の共同生活をカメラは淡々と写していくが、次第に二人の間で緊張感が高まっていく。メフメットの溜めていた不満が爆発するのが、散らかった荷物だったり、煙草の灰であったり、トイレの流し忘れだったりする。日常とはそういうものなのだ。
大きなエピソードはないし、彼らは決定的に不幸ではないが、中年男の孤独な風景は非常にリアルだ。黙って去っていったユスフが残した煙草を吸いながら、メフメットは何を思ったのだろうか?清々した気持ちか、はたまた一抹の寂しさか。ラストの表情はそうした疑問と余韻を残している。この作品はカンヌ映画祭で審査員特別グランプリと主演男優賞を獲得している。かくも高い評価を受けたのも頷ける。因みにこのときのPalme d'OrはGus van SantのELEPHANT。邦題は『冬の街』。原題は「距離」の意。