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25 avril 2006 

SAINT RALPH:film

Michael McGowan監督の"SAINT RALPH"を観た。
1953年カナダ。カソリック系の学校に通う14歳のRalphは学校ではちょっとした問題児で、校長に目を付けられている。彼の父は戦死し、母も病床にある。
 ある日、母の病状が悪化して看護婦から「奇跡でも起こらない限り目を覚まさない」と言われた時から「奇跡」という言葉にとりつかれる。そして「ボストンマラソンに優勝するのは奇跡だ」と言われてから、自分が奇跡をおこせば、母にも奇跡がおこると思い、ボストンマラソンで優勝するために懸命に練習を始めるが・・・。
 少年ジャンプのコンセプトではないが、「努力」「友情」「勝利」という要素に加え、「逆境」と「必死さ」など感動を誘う要素が満載で、そうした作為がかなり気になったが・・・泣けてしまった。Jeff Buckleyのhallelujahが流れてきて、主演のAdam Butcherがスタートラインで十字を切るシーンから涙腺が刺激されてしまった。ひ弱で儚げで薄幸な少年の演技が素晴らしかったことも感涙に一役買ったといえる。しかし、ボストンマラソンのシーンが短くやや呆気ない感じがしたので、彼をもっと走らせてもよかったのではないかと思った。ところで、これがマラソンではなく、別の競技だったらこうした感動を演出できたであろうか?
 マラソンというのは実際にみるよりも、映像で観た方がずっと面白く、スリリングなスポーツだ。ルールが誰にでも理解できて、走る姿や表情をアップにすることによって観る者が感情移入しやすくなる。ランナーの苦しむ表情や他の走者との駆け引きは、走者個人とレース全体を見渡すことができる映像の方がはるかに分かりやすい。マラソンを沿道で観ていても、各ランナーはあっという間に過ぎ去ってしまうため、生で競技をみても競技そのものを楽しむことができない。パリでTour de Franceを実際に観たときがそうだった。2時間以上も炎天下で待って、アームストロングは一瞬のうちに彼方に行ってしまった。あとでテレビでみると、勝負所の駆け引きやデッドヒートが観られたので、むしろ全体像を把握することができた。映像向けのスポーツといえば野球などもその範疇に入るだろう。球場では分からない投手とバッターの表情や駆け引きがカメラを通すとよく分かる。これがサッカーとなると難しい。表情ばかりを写すとフォーメーションが分からないし、全景ばかりを撮っていると選手へ感情移入しにくい。ワールドカップのチケットが外れてしまったが、むしろテレビで観る方がいいのではないか・・・とチケットが外れてしまった失望を思い出すたび、サッカーはテレビ向けと言い聞かせている。
 制作者の作為にまんまとはめられて悔しいが、「泣ける」一本である。子供が走る姿が印象的な作品にマジッド・マジディ監督の『運動靴と赤い金魚』というイラン映画がある。こちらもあわせてご覧になることをおすすめする。邦題は『リトル・ランナー』。