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08 janvier 2007 

FEVER PITCH:films

David EVANS監督の"FEVER PITCH"(邦題『僕のプレミアライフ』)を観た。
この作品を観て、そっくりだと思った作品があった。その作品も題名が"FEVER PITCH"(『2番目のキス』)。今回観たのは先に映画化されたイギリス版で、原作により忠実に描かれている。アメリカ版はサッカーがベースボールに置き換わり、Premiere leagueのArsenalはアメリカのmajor leagueのBoston Red Soxになっていた。両者の共通点はチームカラーがレッドで、名門で強いのだが、最強ではなく、強豪チームの後塵を拝してばかりというポジションである。イギリス版とアメリカ版では多くの点が異なっていたが、最大の相違点はアメリカ版の主人公が彼女のためにチームのファンであることをやめようとする点。イギリス版はそういうことはしない、彼女よりもずっと長い関係であるチームを選ぶ。結果的に女性が妥協して円満になるが、この差は極めて大きい。僕の好みとしては、
イギリス版の方がずっと味がある。アメリカ版の方がより作り物的な演出が多い。
 イギリス版で印象深いシーンは、PKを外して落ち込む生徒が明日のArsenalの勝利を信じて気持ちを切り替えるシーン。「失敗してもArsenalがある!」仕事で落ち込んでも趣味や他の楽しみがあれば、人生は悪くないと思える。こうしたさりげない演出があるのも、イギリス版の方がずっと上だと思う理由である。両方ご覧になった方は大同小異じゃないかと思うかも知れない。むしろイギリス版の方が安上がりで豪華さに欠けるという声もあろう。そうともいえるが、アンチ・ハリウッドの私からすればどうしても判官贔屓になってしまうんだな。
 『僕のプレミアライフ』を観るにあたって、同じ原作者の『ハイ・フィデリティ』も観た。イギリスと日本は地域的には随分と隔絶しているが、30代の中途半端さやマニアックな趣味の方向性にかけては強い共感をおぼえる。さらに『アバウト・ア・ボーイ』を観ると、やはりその共感はある種の同一性に基づいていることを確信する。イギリスを舞台に30代の男性を描く時、結婚して、子供がいて、バリバリ仕事をしている男性はなかなか想像しにくい。この三本の主人公の同一性はイギリスの一つの典型的な姿がなのだろうか。そう言えばフランス映画『ロシアン・ドールズ』の主人公も精神的にも社会的には中途半端だったな・・・。大きな夢をもつわけでもなく、結婚などの社会的な安定を求めるでもなく、日々をそれなりに悩み、それなりに楽しくやっている。それでいいじゃないか、と僕は思う。