Tokyo Island;journal
桐野夏生の『東京島』を読んだ。
無人島でサバイバル生活することを余儀なくされた31人の男と、1人の女の物語。久しぶりに、小説を一気読みした。
驚いたのは、これに酷似したシチュエーションの実話があるということ。小説読了後、実際の事件をネットで調べてみると、多くのサイトに記述があった。それぞれを仔細に読むと多くの点で齟齬があり、どれが真実に近いのは判然としない。しかし、事実関係は、押さえることができた。
小説は事実より脚色され、興味深い仕掛けが多々あった。住人に中国人グループを入れるというのは、いかにも桐野らしい着想だ。そして、唯一の女性を実話のように若く設定せず(23歳)、40オーヴァーの肥えた女性として描いているのも、他の男の本能を際だたせる意味では極めて有効であったと思われる。それぞれのキャラクターを別のキャラクターに語らせ、一人の人物の自己評価と他人の解釈の隔たりをみせたりする手法は、面白い。
学部の頃、工学部の友人が言っていた言葉を思い出す。当時の工学部の学科はまさに男30、女1人という状態だったようだが、そうした環境にいると、最初は人並み見えた唯一の女性が次第に可愛く見えるようになるという。その時は半ば冗談と受け流したが、学科の集合写真を見たとき、あながち冗談とは言えない、と思ったものである。
閑話休題。小説世界もさることながら、実話にも大いにうならされた。まだ戦争状態にあると思っていた島の人々は唯一の女性をめぐって殺し合いをしたという。そのきっかけは、島内に墜落したB29から発見された拳銃。この拳銃で、何人もの人間が命を失った。やはり簡単に人を殺せる物が存在すれば、死者も多くなるということか。また、無人島であるが故に、島が無法地帯と化していたことも殺人を誘発したかもしれない。
実話では、さらに驚く後日談がある。これを題材にした映画が、救出された唯一の女性・比嘉和子自身を主演に据えて制作・上映されたという。いやはや、凄い話もあるものである。
三線のお稽古の合間、古稀を迎えられる師範に事件をご存じか訊いてみた。最初は思い出せないようだったが、ハッとした直後、「アナタハン」という言葉が!映画をご覧になったことがあるとの由だった。
無人島でサバイバル生活することを余儀なくされた31人の男と、1人の女の物語。久しぶりに、小説を一気読みした。
驚いたのは、これに酷似したシチュエーションの実話があるということ。小説読了後、実際の事件をネットで調べてみると、多くのサイトに記述があった。それぞれを仔細に読むと多くの点で齟齬があり、どれが真実に近いのは判然としない。しかし、事実関係は、押さえることができた。
小説は事実より脚色され、興味深い仕掛けが多々あった。住人に中国人グループを入れるというのは、いかにも桐野らしい着想だ。そして、唯一の女性を実話のように若く設定せず(23歳)、40オーヴァーの肥えた女性として描いているのも、他の男の本能を際だたせる意味では極めて有効であったと思われる。それぞれのキャラクターを別のキャラクターに語らせ、一人の人物の自己評価と他人の解釈の隔たりをみせたりする手法は、面白い。
学部の頃、工学部の友人が言っていた言葉を思い出す。当時の工学部の学科はまさに男30、女1人という状態だったようだが、そうした環境にいると、最初は人並み見えた唯一の女性が次第に可愛く見えるようになるという。その時は半ば冗談と受け流したが、学科の集合写真を見たとき、あながち冗談とは言えない、と思ったものである。
閑話休題。小説世界もさることながら、実話にも大いにうならされた。まだ戦争状態にあると思っていた島の人々は唯一の女性をめぐって殺し合いをしたという。そのきっかけは、島内に墜落したB29から発見された拳銃。この拳銃で、何人もの人間が命を失った。やはり簡単に人を殺せる物が存在すれば、死者も多くなるということか。また、無人島であるが故に、島が無法地帯と化していたことも殺人を誘発したかもしれない。
実話では、さらに驚く後日談がある。これを題材にした映画が、救出された唯一の女性・比嘉和子自身を主演に据えて制作・上映されたという。いやはや、凄い話もあるものである。
三線のお稽古の合間、古稀を迎えられる師範に事件をご存じか訊いてみた。最初は思い出せないようだったが、ハッとした直後、「アナタハン」という言葉が!映画をご覧になったことがあるとの由だった。
