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17 juin 2007 

La Cérémonie:films

 Claude Chabrol監督のLa Cérémonieを観た。TV5(結局、有線で視聴)でやっていた作品。Sandrine BonnaireとIsabelle Huppertの実力派女優二人が共演する作品で、期待して観た。
 若くて美しい女性・SophieはSaint-Maloのブルジョア家庭・Lelièvre家に家政婦として雇われる。彼女は料理も上手く、仕事を完璧にこなして、家族に重宝がられる。しかし、彼女は自分が識字障害をもち、文字が読めないことを一家にはひた隠しにしている。文字が読めないことで遭遇する難局をなんとか切り抜けるが、家族から渡されるメモの対処に困った彼女は、次第に郵便局員のJeanneと親しくなっていく。ある日、一家の娘・Melindaに文字が読めないことを知られ、娘はSophieに文字を教えることを申し出る。しかし、Sophieは逆に文盲であることを誰かに知らせるなら、Melindaが妊娠をしていることを親にばらすと脅迫してしまう。そのことでSophieは家を解雇されてしまう・・・。
 Sophieの識字障害が学習環境によるものなのか、学習障害によるものなのかは判らないが、彼女がメモを「解読」しようと必死に鍵のかかった教科書と格闘しようとする姿を観ると、学習障害によるものなのかもしれない。とにかくSophieのなかでは大きなコンプレックスとなっている。現代社会において、文盲であることは極めて大きなdisadvantageである。仕事をするにも契約ひとつ交わせないし、およそ文字が関与しない職業はない。そのことの心的負担、将来への不安は計り知れない。明るい未来が開けている感じがしないであろう。
 そんな彼女が同じように過去にも現状にも満足せず、未来への希望ももたないJeanneと出会うことで、負の感情の相乗効果ともいえる暴挙に出てしまう。SophieとJeanneの性格は全く違うが、別の意味で閉塞状況に置かれている存在と言えよう。過去にLelièvre家の夫人にミスコンで敗れ、結婚も失敗し、Lelièvre家の手紙を覗き見ているとLelièvre家の主人に疑われている。
 僕自身は文盲ではないが、判読できない外国の文書の前で絶望的な気持ちになることは、よくある。これが日常的な状況で、それをひた隠しにしなければならないなら、そのストレスは極めて重いものになるだろう。文盲の女性を主人公とした小説にBernhard Schlinkの『朗読者』があるが、これも非常によくできた作品であった(この作品のテーマはナチスの戦争犯罪も大きなテーマになっている)。
 La CérémonieはちょうどGus van SantのELEPHANTの女性版といった趣である。制作年がELEPHANTの方が遅いのでELEPHANTの方が男性若者版と言えるかも知れない。SophieとJeanneが劇中では明示的ではないが、lesbian的な雰囲気を漂わせていることが、ELEPHANTの二人とシンメトリーの関係にある。だからといって、銃犯罪と識字障害、セクシュアリティを結びつけるのはあまりにも安直である。ラストは図らずもJeanneが交通事故に遭い、Sophieは自分たちが行った行為を全てJeanneに被せることができる状況になる(Sophieは契約も交わしていないし、家のパーティ客にも姿を観られていないし、自分が撃った銃の指紋もきれいに拭き取っている)。こうした状況に至るまで巧みに台詞が構成されていたことが、なかなか味わい深い。原題は「儀式」。