La Double Vie de Véronique:film
Krzysztof Kieslowski監督のLa Double Vie de Véroniqueを観た。ポーランドで一人の女性ヴェロニカが舞台の上で突然、絶命する。その時、パリでは同じ名前、同じ音楽の才能をもつヴェロニカが得も言われぬ喪失感に襲われる・・・。
この映画は二人の不思議な縁を描く寓話である。ほぼ全編、徹頭徹尾Irène Jacobの耽美的なカットが続く。しかし、ずっと観ていても飽きない不思議な魅力が彼女にはある。彼女の魅力を何と表現したらいいのだろう。美しいが、近寄りがたい雰囲気ではない。自然体で柔らかく、内面の安定を感じる。監督はよっぽど彼女に惚れ込んでいたのだろう。Irène Jacobの魅力がこの作品を支えていると言っても過言ではない。途中、バレエダンサーが死に、蝶々として生まれ変わるマリオネット劇が挿入される。それはまさにヴェロニカそのものであり、その劇を仲立ちとしてポーランドのヴェロニカの恋人が、パリのヴェロニカに出会うことになる。こうした演出は巧みである。グリーンと琥珀色を基調にするが、それはVéroniqueの眼の色と髪の色を表している。さらにVéroniqueの生まれた年は実際にIrène Jacobの生まれた年に合わせている。つまり、この作品は画面全体が彼女一色なのだ。彼女を堪能したい向きには最高の一本である。特定の色にこだわった映像作りはトリコロール三部作に引き継がれているが、監督がこうした映像を撮りだしたのはこの作品からではないだろうか?邦題は『二人のベロニカ』。
