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08 novembre 2008 

Du Levande:journal

Roy Andersson監督のDu Levandeを観た。
 スウェーデンのとある街。ロック歌手との結婚を夢見る少女は、彼に伝える言葉をいつも口ずさんでいる。夫から「クソババア」と言われた小学校教師は、児童の前で涙を流し、夫は客の前で妻をなじったことを後悔する・・・。こうした日常の哀しみや、小さな不運を嘆く人々のエピソードと、登場人物のささやかな夢からこの物語は成り立っている。作風としては、オタール・イオセリアーニに近い。
 振り返れば自分の日常も彼らとさほど変わらない。隣人に腹を立てたり、小さなことにくよくよしたり、好きな人のことが気になってしょうがない。この作品でも他人からみたらクスッと笑ってしまうエピソードが散りばめられている。
 しかし、ラスト附近に登場人物たちが空を眺める辺りから雲行きは怪しくなる。彼らの視線の先には無数の戦闘機。長閑ともいえる街をめがけて飛来しているシーンで突然、本作は終幕を迎える。
 幕が下りたときにボクらはやっと気づくのだ。「命ある者よ、逃げようとするお前の足を忘却の川が濡らすまで、暖かな寝床を楽しむがよい」という冒頭のゲーテの言葉の意味を。彼らの些細な不運も、哀しみも、戦闘状態に置かれた日常からすれば、愛おしいものなんだということを。
 思い返せば、彼らが口にする話題には、国家や隣国の脅威やテロリズムといったおどろおどろしい言葉が出てこない。全編が軽妙な音楽に彩られるような日常なのだ。
 バーテンダーがラストオーダーの時に言う決まり文句「ラストオーダー!また明日があるよ!」。劇中では三度ぐらい使われていただろうか。監督は、この言葉の真の意味を観客に噛みしめて欲しかったのだろう。
 原題は「君は生きている」の意。邦題は「愛おしき隣人」。燻銀の、含蓄ある作品だ。