LA FINESTRA DI FRONTE:films
Ferzan Ozpetek監督のLA FINESTRA DI FRONTEを観た。二人の子供とやさしいが頼りない夫をかかえて工場で経理を担当するGiovanna。台所での一服と向かいの窓に若い男性の姿が見える瞬間が、わずかに彼 女を現実から引き離してく れている。ある日、夫がSimoneと名乗る記憶喪失の老人を家につれてきたことにより、彼をとりあえず部屋にとめることになる。その後、Simoneを 連 れて困り果てていたGiovannaにある男が手助けに声を掛けてくれる。それは向かいの部屋の男・Lorenzoだった。彼もまたGiovannaの姿 をみて同じような感情を抱いていたという・・・。
物語は1940年代のパン屋の作業場での殺人事件の現場から始まる。Simoneの過去と GiovannaとLorenzoの恋愛が絶妙な重なりをもって描かれている。Lorenzoと夢見る将来と、お菓子職人への夢、そして家族との生活の間 で引き裂かれるGiovannaの葛藤が効果的な音楽とともに情緒的に描かれていた。これが単なる若い二人の恋愛話ならありふれた話となったのだが、そこ にSimoneの複雑な過去が加わることにより、物語に重層性が生まれ、より味わい深いものになったように思う。Giovannaの心を揺さぶる Simoneの 珠玉の台詞も見所の一つ。久しぶりのイタリア映画。CSのシネフィル・イマジカのシネフィル直輸入映画となっていたので日本では映画祭以外の上演はされて いないのだろう。しかし、この作品はイタリア版アカデミー賞のDavid di Donatello賞で各賞を総なめにしただけでなく、国外の映画祭でも高い評価を受けている。それも十分頷ける作品である。しかし、こうした一般受けも十分しそうな作品が全国展開されないのは極めて遺憾である。邦題は『向かいの窓』。お薦め。
