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06 novembre 2006 

SCRAP HEAVEN:films

李相日監督の『スクラップ・ヘブン』を観た。警察官のシンゴ、トイレ掃除夫のテツ、薬剤師のサキが乗っていたバスが自暴自棄になった政治家の秘書の男にバスジャックされてしまう。シンゴはその場では何もすることもできず、テツは撃たれてしまう・・・。
 本当に『フラ・ガール』と同じ監督かと疑ってしまうほどテイストが違う作品だった。どちらかというとこちらの作品の方が好きだが、この作品を観て最初に思ったのは青山真治監督の『ユリイカ』にプロットが似ているということである。画面の作り方や台詞、全体のテイストは全く違うが、バスジャックに遭遇した被害者がいわば脱社会的になってしまい、転じて反社会的な行動に向かう点に同一性を感じさせるものがあった(ついでにいうと義眼が外れてしまうシーンはフランソワ・オゾンの短編にあったシーンにそっくり)。
 こうした同一性が気になってもこの作品は嫌いではない。加瀬亮の演技は、表情から心情が判りにくい現代の若者を体現しているようでなかなかいいし(個人的に彼は浅野忠信の再来だと思う)、オダギリジョーや栗山千明は存在感があるし、柄本明の哀愁漂う佇まいも素晴らしい。「世の中、人の痛みを想像できない奴が多すぎる」。こう非難する若者自身が、自らの行動の結果や人の痛みを想像できていなかったという状況に気づかされる。センス溢れるカットに隠された先が読めない展開もなかなかいい。ストーリーにリアリティは全然ないが、主人公たちの台詞に自分と同じ叫びのようなものが重なる瞬間もある。李監督の作品のなかでは、この作品が一番、監督自身が作りたかった作品だったのではないだろうか?