LOST IN LA MANCHA:films
Keith Fulton & Louis Pepe監督のLOST IN LA MANCHAを観た。世界の名作『ドン・キホーテ』をテーマにした「The Man Who Killed Don Quixote(ドン・キホーテを殺した男)」。制作費50億円。監督は『未来世紀ブラジル』のTerry Gilliam。主演はフランス映画界の重鎮・Jean Rochefort。ハリウッドの若手実力者・Johnny Deppとその妻・Vanessa Paradisの競演。空前の大作となり、世界中に配信されるはずだった。しかし、いざ、撮影がはじまると、監督の熱意を踏みにじるように突然の雷雨に襲われ、時代衣装をまとって馬に跨った役者の上空をNATOの空軍機が飛び交い、ドン・キホーテを演じるロシュフォールの体調に異変が生じ、それに付随する保険会社との間に次々と補償問題がおきる・・・。
アクシデントが起こるたびに繰り広げられる議論とスタッフの対応に大笑いしてしまう。『ドン・キホーテ』に「喜劇で一番難しい役は愚か者の役であり、それを演ずる役者は愚か者ではない。」という一節がある。一般に喜劇は緻密な計算によって構成される。しかし、この作品は意図せざる全てのアクシデントやスタッフの不幸が結果的に作品を一級の喜劇にした珍しい例と言えよう。エディターの笑いのセンスは素晴らしい。映画製作の裏側をのぞけるのも興味深いし、監督業の労苦もしのばれる一本。作られた喜劇に飽きた向きにはお薦めだ。
この映画を観る限り、Terry Gilliamは「変人」だとは思わなかったが、同様に「変人」の誉れ高いLars von TrierのDOGVILLの撮影風景を描いた作品DOGVILLE CONFESSIONS(邦題「メイキング・オブ・ドッグヴィル 〜告白〜」も面白かった。映画編集については「カッティング・エッジ 映画編集のすべて」が非常に参考になる)
