« Home | INA BAUER deux: journal » | AERON FLUX:films » | une erreur d'arbitrage:journal » | LOST IN LA MANCHA:films » | MUNICH:films » | Confiture de fraises à la maison:journal » | MUNAKATA DO:journal » | NORMAL:films » | VERDER DAN DE MAAN:films » | SHINE: films » 

17 mars 2006 

Lakposhtha ham parvaz mikonand:films

Bahman Ghobadi監督の لاك پشتها هم پرواز مي كنندを観た。 アメリカ軍によるイラク侵攻前夜。イラン・イラク戦争、湾岸戦争、サダムフセインの圧政で荒廃したイラク北部のクルド人地域に再び戦争が訪れようとしていた。しかし、村人はいつ戦争が始まるのか分からない。孤児のサテライトは村の長老に頼まれてパラボナ・アンテナを買い、ニュース番組を受信して開戦の時期を知ろうとする。しかし、誰も英語が分からない。また彼は子供たちを先導して地雷を撤去し、それを売って現金収入に当てたり、武器と交換したりしていた。そんな彼が難民の少女に恋をする。彼女を追いかけるうち、両腕を失った彼女の兄に予知能力があることを知る・・・。
 絶望を表情に湛えた少女が恐怖に戦きながら断崖絶壁から飛び降りる。それだけが原色のような空色の靴を残して。そんな冒頭のカットにいきなり打ちのめされる。暴力と憎しみと絶望のなかから生まれた盲目の息子には母性の神話はあまりに無力で、難民となった少女は自殺ばかり考えている。デジタル・デバイドで置き去りにされた地域に戦争が訪れる恐怖。そこに台頭する少年デマゴーグ。この村では地雷が貨幣の代わりとして「流通」している。少女の兄に予知能力があるが、それは映画にファンタジックな要素を交えるためではない。彼は狂言回しのように現実におこった事柄を我々に伝える役割を果たしている。
 鉛色の空に響く爆音、足下には無数の地雷。この作品は戦争の絶望と恐怖と国と国との間で翻弄される子供たちを描いた映画であるが、決して「虚構」ではない。情報格差の問題が地球的な規模でかくも深刻な事態を引き起こしていることを、この映画以上に雄弁に、実感として観る者に伝える作品はないのではないだろうか。これが現代の現実であることを思うと暗澹とするが、この悲惨な現実に日本はイラク戦争を支持したことで荷担したことを私は忘れないようにしようと思う。是非、劇場に足を運ばれたい(公開は今日までだけど・・・)。邦題は「亀も空を飛ぶ」Lakposhtha ham parvaz mikonand。「亀」は少女のメタファーか。