« Home | ma montre:journal » | certificat médical:journal » | Je ne suis pas là pour être aimé:films » | それでもボクはやってない:films » | VOLVER:films » | Les nouvelles du décès:journal » | Voyage en Pologne » | arithmétique indienne:journal » | Trop chaud pour le foot: journal » | Poêle en fer:journal » 

18 septembre 2007 

The Squid and the Whale:films

Noah Baumbach監督の”The Squid and the Whale ”を観た。
 1980年代のブルックリン。両親と息子二人の四人家族。両親は双方ともPh.Dをとっている作家。兄のWaltは大学生で弟のFrankは小学生。ある日、両親が別居することを決め、別居しながらも両親は息子たちを「共同監視」することに。
 この四人兄弟と彼らをとりまく人間関係が興味深い。特に突出した個性がぶつかるワケではない、日常の些細なできごとが誰もがもっているちっぽけな人間性を露わにしている。父親はドがつくほどの吝嗇家で、息子との卓球勝負に怒り、作家としてはスランプ。母親は執筆活動は旺盛で、作家として順調に歩み出しているのだが、スランプの夫に愛想を尽かし、浮気癖がある。「父親の日」で息子たちがいない時にも彼氏を家に入れて浮気をしている。小さな息子が間が悪いときにやってきても、はねつけてしまう。Waltは読んでもいない本をさも熟知しているように女の子に論評したり、ピンク・フロイドの曲を自作と称して披露したりしている。両親の動向にもっとも多感なFrankはsemenを学校の図書やロッカーにつけたりしている。いずれもバレて両親を困らせてしまうのだが、両親たちはそれが自分たちに遠因があるとは思っていないようだ。
 この物語は少しずつ一つの家庭が壊れていくさまを描くのだが、こうした一家崩壊ものにありがちな救いようのない泥沼をセンセーショナルに見せつけるようなどぎつさはない。遣る瀬なさや切なさのなかに、小さな笑いとかすかに残る愛情が感じられる作品だ。父親が母親と観た映画の台詞と状況を克明に憶えていることや、母親が父親を口汚く罵ったりしないことや、それは兄は父寄り、弟は母寄りでゆるやかに繋がっているからかも知れない。
 この題名はWaltが小さいときに海洋博物館に展示されているイカとクジラの格闘する展示に恐れをなして泣いてしまったことに由来している。ラストシーンはまさにこの展示の前に再び佇むWaltのシーンなのだが、彼は両者の格闘に涙することなく、しっかりと見据えるところでエンドロールに入る。両親の不仲のなかにあっても、子供は成長していることを示すラストだ。両親が不仲の家庭で育った子供たちに人は憐れみの眼差しを向けるのかもしれない。しかし、それはあまりにステレオタイプにすぎるのだろう。そうしたなかにあっても子供たちは何かをつかみ取っていくのだ。またFrankの葛藤と成長も見逃せない。邦題は「イカとクジラ」。